てらがよい日記

お寺という名の異世界に通って感じたこと

人生初の滝行体験。耐えられた時間はなんと・・・っ!!

f:id:kuriedits:20191114203549j:plain

滝行体験をしてきました。もちろん人生初です。

三重県伊勢市のほうに、滝に打たせてくれる場所があるのです。奥さんが「行ってみたら?おもしろいんじゃない?」と教えてくれたので、二人で行ってきました。

参加費は1人2200円。所要時間は説明・着替え・滝行など全部で1時間弱です。男性はふんどしとハチマキ購入で+1100円、女性は白衣レンタル+1100円です。

ふんどし・・・生まれて初めて着用しました。もっとスース―するかと思ったら、意外としっかり股間にハマるんですね、あれ。

滝は数メートルの小さな滝です。パワースポットになっているらしく、女性客が圧倒的に多いとか。ゴリゴリの修行場ではなく、ちょっとした観光スポットです。

さて、滝のそばの小さな小屋で着替えて、ふんどし一丁で、いざ出陣。

この日の水温、8度。案内人は「この時期にしてはかなり温かいから大丈夫」といいます。

まずは水につかるところから。つま先からそーっと滝つぼに向かいますが・・・めっちゃ冷たいじゃん!!!これ大丈夫?

「胸のところに水をじゃぶじゃぶつけてください!」

と後ろで案内人の声がしますが、はっきりいってそれどころじゃありません。まだひざまでしか水に浸かっていないのに、もう死にそうです。おそるおそる水を胸にかけると・・・あ、やばい、これは・・・心臓の鼓動が止まる!

「ちょ、ちょちょ、タンマです」といって急いで一旦水面からから脱出。心臓がドクンドクンと激しく動き、歯はガチガチ鳴り止みません。あっという間に体が芯から冷え切ってます。そういえば、私いままで銭湯で水風呂でさえ入ったことがないんですよね。それくらい水が苦手。

といっても、ここまで来て滝に打たれないわけにもいきませんので、覚悟を決めて再度突入。今度はいくらか水に慣れたせいか、胸に水をかけるところまではクリア。続いて案内人の指示に従いながら、滝に背を向けながら後ろ向きに進み、背中から滝つぼへイン!

水が頭にどばばばばばーーーー。呼吸ができず、即座に脱出。体中が悲鳴をあげています。すべての細胞が「お前には無理だ」と言っているのがわかりました、ええ。こんな感覚は本当に久しぶりです。滝つぼに出ては入って、出ては入ってを繰り返し、何度か繰り返すことで、ようやく慣れてきました。

さて、そんな私とはうってかわって奥さんはといえば、始めからすんなり滝つぼに入り、何の抵抗もなく、滝に打たれながら手を合わせて直立不動。なんだかいかにも滝行!みたいな姿勢を続けています。たぶん、5分くらいしていたんじゃないでしょうか。私が「そろそろ行こう」と声をかけなければ、もっと続けていたと思います。わたしは雨に打たれた子犬のようにぷるぷる震えながら横で眺めていました。

案内人の話では、水温マイナスで数十分続ける猛者もいるそうです。まぢか・・・。最初は寒くても、一定時間あたっていると、寒さを感じなくなり、精神的にいい感じになっていくといいます。話を聞いていて坐禅と似ているなと思いました。坐禅も肉体的にはめっちゃ辛いですからね。どちらも肉体を追い込むのが共通点です。

最後は記念の証書をいただき、修行(?)完了。いやあ、もう人生で滝行をすることは二度とないんじゃないかな。だって私、冷え性だし。

さて、最後にクイズです。この日、私は一番長くてどのくらい滝に打たれることに耐えられたでしょうか。

答えは・・・・

・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

3秒でした!!!!

いやほんと、なさけなくてごめんなさい(泣)

でもアクティビティとしては十分楽しいから、是非体験してみてください!!

www.asoview.com

すり鉢の底からリネン服革命家が教えてくれたこと

 

今回は服のお話をしたいと思います。

 

f:id:kuriedits:20191101144129j:plain

 

「よく人は、甲府を『擂鉢の底』と評しているが、当たっていない。甲府は、もっとハイカラである」

そういったのは作家・太宰治だったそうです。擂鉢(すりばち)の底とは、山々に囲われた甲府盆地のこと。わたしは数えるほどしか甲府に行ったことがないのですけど、すり鉢の底に店を構える現代のハイカラなお店をひとつ知っています。世にも珍しく素敵なお店。その名は・・・。

 

f:id:kuriedits:20191101145750j:plain


「【 wafu 】 linen clothing」といいます。

服屋です。ご本人たち曰く、「リネンという謎の素材で、服作りをし続ける人達」。リネンとは麻。

wafuは夏のイメージのある麻素材の服を、一年中着られるようにする職人集団です。

自ら”リネン服革命家”と称し、麻ジャケット、麻パーカー、麻ウェディングドレスなど、普段はお目にかかれない珍しい形の麻服を作っています。

洋服だけじゃありません。麻バッグ、麻コーヒーフィルターなど麻素材の雑貨も作ります。今年は縫製場の横に古民家宿を一軒建て、自作の麻シーツや麻枕カバーなどを宿泊者に体感してもらう試みを始めました。とにかく、麻の魅力を伝えたいようです。

この奇妙な集団に以前からこっそり注目していたわたしは先日、wafuを訊ね、白髪がダンディな三代目社長である綿貫陽介さんに仕事場を見学させていただきました。

f:id:kuriedits:20191101144301j:plain

わたしは縫製業のことはまったくわからないのですけど、縫製職人である綿貫さんのお話は共感するところが多々ありました。

その内容をここに紹介しても十分におもしろいのですが、今回は別の事を書きたいと思います。それは、わたしが麻に興味を持ったきっかけについてです。

 

wafuを見学しているときに、若い女性のスタッフさんから、

「どうしてリネンにご興味を持ったのですか?」

と訊ねられました。

「え?」

そういえばわたしはどうして麻に関心があるのだろう。わたしが言葉に詰まっていると、その女性スタッフが呟き始めました。

自分も以前はリネンに興味がなかった。でもリネンの速乾性に魅了された。濡れたハンカチはバッグに入れたくないけれど、リネンの生地ならすぐ乾く。知れば知るほどリネンという素材が好きになるーー。

その話を聞いて、はっとしました。それだ!

わたしが麻に惹かれたのも機能性だったのです。

記憶を掘り起こすと2017年2月、日本一の”おもてなし”があるといわれる石川県の老舗旅館「加賀屋」に泊まったときのことです。決してピカピカの建物ではないのに、客室もロビーも清潔で、整理整頓された空間に衝撃を受けました。すべてが丁寧なその光景は、禅の世界に似ているような気がしました。廊下に展示されている人間国宝作の九谷焼の美しさに感動し、器に興味を持ち始めたのもこのころです。

 

f:id:kuriedits:20191101144452j:plain

 

その年の10月、真言宗の総本山である奈良県高野山で宿坊体験(お寺に泊まる)をしました。きれいに掃除された室内、無駄のない空間、丁寧な精進料理、これも最高に心地良いものでした。

 

f:id:kuriedits:20191101143206j:plain

 

2017~2018年はすでに坐禅日課になっていて、高じて禅に関する書籍を読み始めたころだと記憶しています。複数の体験が重なって、そのころわたしは「余計なものをそぎ落とす」という禅的な行動様式に惹かれていました。

余計なものを削ぐというのは、必要最小限しか持たないということです。実践しようとすると、ものを減らさないといけないので、本当に気に入ったものしか買えなくなります。

日常生活はズボラなわたしが、一転して丁寧な生活を心掛けるようになりました。

いつどこから私が麻に興味を持ったのかは定かではありませんが、こういうことが積り積って、麻に辿り着いたのだと思います。最近わたしの身の回りのものにも麻製が増えてきました。wafuの作品もそのひとつです。

 

f:id:kuriedits:20191101223643j:plain

 

実用性を求めてどうして麻に注目したのかといえば、それはこの素材が機能性に優れているからです。

麻の持つヒミツをwafuはこう説明しています。

1:吸湿性(吸水性) 麻の吸水性は綿のおよそ4倍

2:耐久性 コシが強いリネンは頻繁に行うお洗濯にも強さを発揮

3:抗菌性 細菌の発育や増殖を阻止する性質

4:保温性 繊維の中が空洞になっていて空気をため込む

5:速乾性 中が空洞なので水分を自然に外に出そうとする

6:防臭 ペクチンという成分が汚れをはじいてくれる

7:熱伝導性 天然繊維の中で突出した「熱伝導率の高さ」

 

いかがでしょうか。つまり、夏涼しくて、冬暖かい。それが麻。奇しくも甲府盆地の気候とは正反対です。日常生活に役立ちそうな気がしませんか?

わたしは日常使うものは機能的なものであってほしいと思います。いくら見てくれがよくても、使いづらいものは邪魔になる。生活に根づき、使い続けることができて、愛着がでるものは、道具として優れたものではなくてはいけない。そういうものづくりにわたしは最近惹かれてます。「麻」はそのひとつではないかと思うのです。

ものづくりって素敵ですよね。麻に取り憑かれた綿貫さんは、この魅惑の繊維について、

「暮らしの寄り添うものであり、カフェ店員、ピアノ教師、ゲームクリエイター、建築家 パン職人、小説家、フォトグラファーなどなど身近で多くの方々の活動のお役に立てるものだと確信しております。日々の活動パフォーマンスを引き上げ支えられる。活動を支える。そんな存在でありたいのであります」

とブログに綴っています。ご興味ある方は是非wafuのサイトをご覧ください(アフィリエイトではありません笑)。

handmade-wafu.com