てらがよい日記

お寺という名の異世界に通って感じたこと

散る桜、残る桜も、散る桜

f:id:kuriedits:20200327205604j:plain

寺の廊下を歩いてると、白い小さな蝶が庭をヒラヒラ。

んー?めずしいなあ・・・と思って目を凝らしたら、

風に舞う桜の花びらでした。ああ、春ですね。

 

今日はお寺で朝から一人坐禅

コロナウイルスの影響で不要不急の外出は控える時期なので、

寄り道・回り道はせず、お寺に行って坐って、すぐに家に帰りました。

仕事にコンを詰めていたので、十分な気分転換になりました。

仕事といえば、先日「定年後の仕事は40代で決めなさい」という本を読みました。

わたしは今30代なのですけど、時々定年後の仕事の仕方を考えることがあります。

それはさておき、この本のあとがきに、こんな言葉が紹介されていました。

散る桜 残る桜も 散る桜

歌人で禅僧だった良寛禅師の辞世の句だそうです。

今キレイな桜も、いずれは散る桜。

仕事も人生もいつかは終わる。最後はみんな終わった人になる。

肩ひじ張らなくてもだいたい同じように終わっていく。

そんな風に著者は書いていました。本当に、その通りだなと思います。

 

坐禅を終えてから、本尊を拝しました。

今抱えている仕事がうまくいきますように!と手を合わせました。

合掌を解いて、目を半分閉じた菩薩の顔をじっと眺めました。

ふと、「いや、お前の仕事のことなんぞ知らんわ」と言われたような気がしました。

そうですよねえ。今世間を騒がせ、命を落とす人さえいるコロナウイルスと比べたら、

わたしの仕事の苦労など、なんと取るに足らないことか。

 

終わる仕事 今ある仕事も 終わる仕事

 

 

 

「あなたはビジネスがやりたいんだな」と言われて

f:id:kuriedits:20200320225343j:plain
むかし他人に言われた言葉が、その時は十分に理解しなかったのに、

ふとした瞬間に記憶の海から浮き上がり、しかもその意味が胸に突き刺さる・・・。

そんな経験はないでしょうか。

先日、部下の一人に、

「マネージャー、独立するって本当ですか?詳しく聞きたいです」

と言われて、びっくりしました。

たしかに、わたしは会社にしがみつく性格でも年齢でもなく、

仕事のやりがいや意味にこだわるタイプではあるのですが、

まさかそんなことを言われるとは想像していなかったので驚きました。

その時です。むかし、自分が上司に言われた言葉をにわかに思い出しました。

それは、かつての職場で、当時の上司に退職の意志を、退職理由を共に伝えた時のことです。

「自分には、こういうやりたいことがある」というわたしの話を聞いた上司は、

「ビジネスがやりたいんだな」

と言いました。ちょっと意味わからなくて、

「そうなんですかね?自分ではわかりませんが」と返すと、

上司はニヤリとして「間違いないよ。あなたビジネスがやりたいんだ」と言いました。

ビジネスをやりたいって、いま自分がやっていることもビジネスでは?

わたしが所属していたのは収益を上げるための重要な部門だったので、

「この人は何を今更言うのだろう」という気持ちでしたが、

いまになってなんとなく、上司の言った意味がわかる気がします。

「ビジネス」とは、お金儲けや仕事のことではなく、

自分の理想を実現するために、持続可能な収益を確保するシステムを生み出すこと

なんだと思います。

確かに、あの頃のわたしは、新しいマネタイズの可能性を模索していました。

「あなたはビジネスがやりたいんだな」という上司の言葉は、

「あなたは理想を追いたいんだな」と同義だったように思います。

いま、部下に「独立について話を聞かせてほしい」と言われ、

「どんな理想を追いたいんですか?」と聞かれたような気がします。

日々忙殺されていると忘れてしまう、理想という言葉。

禅では理想をどう解釈するのでしょう。今日は坐禅しながら、久しぶりに自分の”理想”を見つめ直したいと思います。