てらがよい日記

お寺という名の異世界に通って感じたこと

猛暑に呟く名句「心頭滅却すれば火もまた涼し」は誤解されている

f:id:kuriedits:20170818203046j:plain

 

久しぶりの座禅。写真では伝わりませんが、3週間ぶりに見た蓮が、あちこちの瓶からすごい勢いで成長してました。

zennote.hatenablog.com

 

今日は猛暑とはいわないまでも、そこそこ暑めの一日。汗がじとっとでてきます。

老師が欠席で、代わりの僧がこんな話をしてくれました。

 

心頭滅却すれば火もまた涼し』という有名な言葉があります。

甲州(山梨)の僧が織田信長の焼打ちにあった時に言った言葉と伝えられていますが、

もともとは中国の言葉

「滅却心頭火自涼(心頭を滅却すれば火もおのずから涼し)」

からきています。

そして、実はこの中国の言葉の前には

「安禅不必須山水(安禅は必ずしも山水をもちいず)」

という言葉が付いているのです。

座禅というのは、山や水の音が聞こえるような

静かで気持ちのよい場所で行う必要はない。

暑く厳しい環境であっても、座禅に集中することはできる。

そういう意味だそうです。

 

ぼくは「心頭~」の名句はてっきり日本の僧の言葉だと思っていたので、

中国由来の禅語であることにとても驚きました。

さらに、ある禅宗のサイトによると、

「火もまた涼し」の”涼し”とは、

火が涼しいのではなく、熱さをそのまま受け入れる境地を

「涼し」と表現しているそうです。

”ありのまま”を受け入れるのが座禅の要諦だからです。

 

ぼくが幼い頃、夏になると父がよくこの言葉を口にしてました。

「気分次第で火も涼しく感じる」という意味だと思っていました。

どうやらこれも誤解だったようです。

この夏、墓前で父に教えようと思います。

 

参考:禅語「安禅不必須山水 滅却心頭火自涼」: 臨済・黄檗 禅の公式サイト