てらがよい日記

お寺という名の異世界に通って感じたこと

「正面を向く」ことの難しさ

f:id:kuriedits:20170826085516j:plain

 

うだるような暑さの中、

蓮の花が咲いていました。

今回は30分間強の座禅でした。

集中できたおかげで、

驚くほどあっという間に終わりました。

ひとつ、座禅のコツを掴んだ気がします。

それは、顔の向きと視線です。

 

座禅の姿勢は、正面を向き、

少し顎を引いて、

頭の頂点から糸を天に向かって

ピーンと吊るすような

イメージで背筋を伸ばすことです。

目は「半眼(はんがん)」といって、

薄目にします。

そして、自分が座る1メートル手前の

畳に視線を落とします。

 

簡単に聞こえるかもしれませんが

正面を向きながら

視線を1メートル先の畳に落とすというのは、

やってみると意外と難しいものです。

正面を向くことばかりに意識を向けると、

視線も前を向いてしまいます。

逆に、視線を畳に落とすことに夢中になると、

顔がだんだん前かがみになります。

そうなると体の軸がぶれて、

呼吸が浅くなります。

 

ぼくは数か月前から

視線を畳から外さないことが集中するコツだ

と思いながらやっていましたが、

正面を向くことはあまり意識しませんでした。

ところが今回、正面を向くことの

大切さを知る機会を偶然に得ました。

 

今回の座禅会は、ぼくは遅刻ギリギリに

参加したために、いつもとは異なる場所に

座ることになりました。

そこは、

真正面に寺の金色に光る門が見える位置でした。

座禅が始まり、

その立派な金門を眺めていたときに

ハッと気付いたのです。

ああ、これが正面を向くということだ。

今まで自分は正面をちゃんと向いていただろうか。

 

金門にしっかりと顔を向けながら(正面を向く)

視線を床に落とす。

床に意識が行き過ぎで、

顔が金門と平行にならなくなったら、

身体が前に傾いているサインです。

 

こうして金門を目印にすることで

正しい姿勢を維持でき、

30分間集中することができました。

 

正面を向く。

ただこれだけのことが、

これほど難しいとは。

 

自分以外のものを頼りにすることで

初めて気づきを得ることができました。

 

人生に通じるところがあるなと

ひとりごちしました。