てらがよい日記

お寺という名の異世界に通って感じたこと

わたしの奇妙な『波紋法』

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空があまりに青くてきれいなので、ちょっくらお寺で坐禅してきました。年配の観光客が続々来る中で、ひとり、じっと40分坐ってました。でも、なんだかとっても集中できて、最高に気持ちよかったですね。来週からは年末で忙しいので、寺で坐るのは今年はこれで最後かなあ・・・。

さて、突然ですが『ジョジョの奇妙な冒険』という何十年も連載が続いている人気漫画をご存知でしょうか。この作品に『波紋法』という必殺技が出てきます。特殊な呼吸法によって、体内に波紋のエネルギーを生み出し、不死身の吸血鬼を倒す秘法です。作者の荒木飛呂彦さんは、呼吸と波紋法の発想をどこから得たんでしょう。作中では波紋法を「仙道」とも読んでいます。案外、昔の身体操作の技法からきてるんじゃないか。先日、坐禅をしてそう思ったことがありました。

さいきん、わたしの中でちょっとしたトレンドがあります。まず、坐禅を組みながら自分のカラダが水になったと強くイメージします。それから、さらに想像を膨らませて、その水(じぶん)で身の回りのすべての空間を満たすようにします。こうすると不思議とうまく集中できることに気づきました。

こんな作法はどの坐禅の本にも書いていないので、まったく邪道なのでしょうけど、わたしの坐禅はもともと邪道禅なのでそこは割り切っています。

じぶんが水になるとどうなるか。これがおもしろいんです。

観光客のおじちゃん、おばちゃんが来ますよね。わいわいがやがや、ドシドシと足音を立てながら廊下を歩きます。わたしは水です。そうした人の動きがあると、波紋が生まれます。たとえば、プールの中を子供が歩くと、波ができますよね、そんなかんじです。

自分というものは存在せず、そこにあるのはただの波紋です。おじちゃんおばちゃんたちが騒がしくても、「ああ、人が歩いているな」「ああ、音がしているな」としか感じません。「うるさいにゃあ」とか「今日は観光客が多いな」とか余計なことは考えないのです。だってただの波紋ですから。これってわたしにとっては、けっこう画期的なことなんです。

以前、この寺の老師が坐禅中の心得をこう説きました。

「鳥がチュンチュンと鳴けば『ああ、鳥がチュンチュンと鳴いたな』と。風が吹けば『風が吹いたな』と。それだけでいいんです」

わたしが水になっている瞬間は、まさにこれを実践できているような気がするのです。そうだ、この方法を『波紋法』と名付けよう!と勝手に思いました。

波紋法を行う時に大事なのは呼吸です。姿勢を調(ととの)え、呼吸を調えると、心が調います。いわゆる坐禅の心得「調身調息調心」です。そうすると、自分をうまく水にできることを今回実感しました。

わたしの奇妙な『波紋法』です。