てらがよい日記

お寺という名の異世界に通って感じたこと

「あなたはビジネスがやりたいんだな」と言われて

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むかし他人に言われた言葉が、その時は十分に理解しなかったのに、

ふとした瞬間に記憶の海から浮き上がり、しかもその意味が胸に突き刺さる・・・。

そんな経験はないでしょうか。

先日、部下の一人に、

「マネージャー、独立するって本当ですか?詳しく聞きたいです」

と言われて、びっくりしました。

たしかに、わたしは会社にしがみつく性格でも年齢でもなく、

仕事のやりがいや意味にこだわるタイプではあるのですが、

まさかそんなことを言われるとは想像していなかったので驚きました。

その時です。むかし、自分が上司に言われた言葉をにわかに思い出しました。

それは、かつての職場で、当時の上司に退職の意志を、退職理由を共に伝えた時のことです。

「自分には、こういうやりたいことがある」というわたしの話を聞いた上司は、

「ビジネスがやりたいんだな」

と言いました。ちょっと意味わからなくて、

「そうなんですかね?自分ではわかりませんが」と返すと、

上司はニヤリとして「間違いないよ。あなたビジネスがやりたいんだ」と言いました。

ビジネスをやりたいって、いま自分がやっていることもビジネスでは?

わたしが所属していたのは収益を上げるための重要な部門だったので、

「この人は何を今更言うのだろう」という気持ちでしたが、

いまになってなんとなく、上司の言った意味がわかる気がします。

「ビジネス」とは、お金儲けや仕事のことではなく、

自分の理想を実現するために、持続可能な収益を確保するシステムを生み出すこと

なんだと思います。

確かに、あの頃のわたしは、新しいマネタイズの可能性を模索していました。

「あなたはビジネスがやりたいんだな」という上司の言葉は、

「あなたは理想を追いたいんだな」と同義だったように思います。

いま、部下に「独立について話を聞かせてほしい」と言われ、

「どんな理想を追いたいんですか?」と聞かれたような気がします。

日々忙殺されていると忘れてしまう、理想という言葉。

禅では理想をどう解釈するのでしょう。今日は坐禅しながら、久しぶりに自分の”理想”を見つめ直したいと思います。