てらがよい日記

お寺という名の異世界に通って感じたこと

散る桜、残る桜も、散る桜

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寺の廊下を歩いてると、白い小さな蝶が庭をヒラヒラ。

んー?めずしいなあ・・・と思って目を凝らしたら、

風に舞う桜の花びらでした。ああ、春ですね。

 

今日はお寺で朝から一人坐禅

コロナウイルスの影響で不要不急の外出は控える時期なので、

寄り道・回り道はせず、お寺に行って坐って、すぐに家に帰りました。

仕事にコンを詰めていたので、十分な気分転換になりました。

仕事といえば、先日「定年後の仕事は40代で決めなさい」という本を読みました。

わたしは今30代なのですけど、時々定年後の仕事の仕方を考えることがあります。

それはさておき、この本のあとがきに、こんな言葉が紹介されていました。

散る桜 残る桜も 散る桜

歌人で禅僧だった良寛禅師の辞世の句だそうです。

今キレイな桜も、いずれは散る桜。

仕事も人生もいつかは終わる。最後はみんな終わった人になる。

肩ひじ張らなくてもだいたい同じように終わっていく。

そんな風に著者は書いていました。本当に、その通りだなと思います。

 

坐禅を終えてから、本尊を拝しました。

今抱えている仕事がうまくいきますように!と手を合わせました。

合掌を解いて、目を半分閉じた菩薩の顔をじっと眺めました。

ふと、「いや、お前の仕事のことなんぞ知らんわ」と言われたような気がしました。

そうですよねえ。今世間を騒がせ、命を落とす人さえいるコロナウイルスと比べたら、

わたしの仕事の苦労など、なんと取るに足らないことか。

 

終わる仕事 今ある仕事も 終わる仕事

 

 

 

「あなたはビジネスがやりたいんだな」と言われて

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むかし他人に言われた言葉が、その時は十分に理解しなかったのに、

ふとした瞬間に記憶の海から浮き上がり、しかもその意味が胸に突き刺さる・・・。

そんな経験はないでしょうか。

先日、部下の一人に、

「マネージャー、独立するって本当ですか?詳しく聞きたいです」

と言われて、びっくりしました。

たしかに、わたしは会社にしがみつく性格でも年齢でもなく、

仕事のやりがいや意味にこだわるタイプではあるのですが、

まさかそんなことを言われるとは想像していなかったので驚きました。

その時です。むかし、自分が上司に言われた言葉をにわかに思い出しました。

それは、かつての職場で、当時の上司に退職の意志を、退職理由を共に伝えた時のことです。

「自分には、こういうやりたいことがある」というわたしの話を聞いた上司は、

「ビジネスがやりたいんだな」

と言いました。ちょっと意味わからなくて、

「そうなんですかね?自分ではわかりませんが」と返すと、

上司はニヤリとして「間違いないよ。あなたビジネスがやりたいんだ」と言いました。

ビジネスをやりたいって、いま自分がやっていることもビジネスでは?

わたしが所属していたのは収益を上げるための重要な部門だったので、

「この人は何を今更言うのだろう」という気持ちでしたが、

いまになってなんとなく、上司の言った意味がわかる気がします。

「ビジネス」とは、お金儲けや仕事のことではなく、

自分の理想を実現するために、持続可能な収益を確保するシステムを生み出すこと

なんだと思います。

確かに、あの頃のわたしは、新しいマネタイズの可能性を模索していました。

「あなたはビジネスがやりたいんだな」という上司の言葉は、

「あなたは理想を追いたいんだな」と同義だったように思います。

いま、部下に「独立について話を聞かせてほしい」と言われ、

「どんな理想を追いたいんですか?」と聞かれたような気がします。

日々忙殺されていると忘れてしまう、理想という言葉。

禅では理想をどう解釈するのでしょう。今日は坐禅しながら、久しぶりに自分の”理想”を見つめ直したいと思います。

「ZEN is・・・」

現役僧侶で薬剤師のホケキョさんが、

最高に素敵なユーチューブの動画を紹介していました。

さまざまな国の老若男女が「自分にとっては禅とは」というテーマで

一言ずつ語っていく動画です。

言葉一つ一つに、その人の人生観が滲み出てくるようで、

なんというか、ちょっと感動的ですね。

 

その中から印象的だった言葉をいくつか紹介します。

www.youtube.com

 

女性「禅は、わたしにとって坐禅です」

男性「禅は、いったん立ち止まって、日常から解放してくれるもの」

男性「禅は、全て」

男性「禅は、ゼロ」

男性「禅は、禅」

女性「禅は、ミニマムにできるのです。小さくすることが可能なんです」

女性「禅は、洗濯機」

女性「禅は、私にとって自分の家に帰ること」

男性「禅は太陽、そして船を進める風」

 

ひょっとすると、これだけ見ても、あまりピンと来ないかもしれません。

特に「禅は、全て」なんて言葉は、ちょっと身構えてしまうかもしれません。

でもここでいう「全て」とは、わたしたちが日常で使う「全て」という意味とは

多分ちがいます。わたしの理解では、この「全て」とは、

「森羅万象」という意味に近いと思います。

日本語の「見る」と英語の「see」が完全一致しないことと

同じように、禅の文脈で語る日本語は、日本語に見えて日本語ではない、

とわたしは思っています。

「見る」と「see」の概念が一致しないように、

それぞれの禅の言葉には、独特の概念があります。

新しい言葉を知ることで、新しい概念を知る。新しいモノの見方ができる。

これこそ禅に触れる醍醐味だと思います。

 

動画の中で印象的だった言葉をもう少し紹介します。

男性「禅は、考えるより前のもの」ZEN is before you think.

女性「禅は、キッチンにあります」ZENis in the kitchen.

女性「禅は、今」ZEN is now.

男性「禅とは、この瞬間に幸せを見出すこと」

ZEN to me is about finding happiness in the present moment.

女性「禅は生活」ZEN is living.

女性「禅は、あなたに止まっているハエ」ZEN is the fly on your sleeve.

男性「禅は、まさにここにあります」ZEN is right here.

 

どれも、とても禅的な言葉です。

わたしが一番気に入ったのは、厨房のおじさんの口から出た次の言葉でした。

今回の中では最も、禅的ではなかったかもしれません。

 

「禅は、次の人のためにこのシンクをキレイにすること」

ZEN is speaking of the next person who has to use this sink, making it ready for them.

 

コロナウイルスで注目の手洗いは、最上の癒しである

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コロナウイルスの影響で坐禅会が無期限で中止になりました。

あらゆる事柄がコロナウイルスの影響を受けていると言っても過言ではない状況です。

今週はトイレットペーパーの品薄情報が世間を駆け巡りました。

最初は嘘だったのに、一斉に購入されたことで本当に欠品に。

「嘘から出たまこと」 とはこのこと。パニックがパニックを呼んでいるようです。

わたし普段は薬剤師をやっていまして、医療人の端くれとして云わせていただくと、

いま大切なのは身近でできる予防方法を確実に行うことです。

第一には「手洗い」の徹底。これは多くの医療従事者が今呼びかけていることです。

 

でふと思ったのですけど、お寺では「手洗い」をどう意味付けているのでしょうか?

 

ヒントが『正法眼蔵』という書にありました。

正法眼蔵』は全87巻からなる仏教の思想書で、曹洞宗の開祖である道元が、

弟子たちが釈迦の教えを正しく理解するように書かれた大書です。

その54番目の項目に「洗浄」というテーマがあります。

身をキレイにするための作法が書かれており、

トレイで用をたした後の手洗い方法を知ることができます。

どんな洗い方なのでしょうか。河出書房の現代語訳から引きます。

次に手を洗わねばならない。右手に灰を掬う匙を取り、まず灰を掬って、瓦石の面に置いて、右手で水を滴らして便に触れた手を洗う。瓦石に手を当てて研ぐように洗うのだ。たとえば、錆の附いた刀を砥石に当てて研ぐようにするのだ。灰を使って三度洗わねばならない。

 

手洗いの作法はこの後も続きますが、簡単にまとめますと、

まず灰で3度洗った後に、次に土で3度洗い、

さらに”さいかち”という植物を煎じた汁を(石鹸の代用品として)使ってもう一度洗い、

合計7度洗ってから最後に水かお湯で流すそうです。

7回!!

多っ!!!!!

長すぎでしょっ!!!!!!

興味深いのは、たかが手洗い一つに細かく作法が記されていることです。

正法眼蔵』の示す「洗浄」とは、感染予防が目的の手洗いとは違います。

仏法を保つための作法が洗浄なのだそうです。

そう言われても、わたしなんぞはなんのことか、さっぱりわかりませんね。

仏教書を平易な言葉で解説することで定評のある

ひろさちやさんの著書『すらすら読める正法眼蔵』(講談社)では、

次のように解説しています。ちょっと長いですが大変わかりやすいので掲載します。

”威儀”という言葉があります。禅宗では”いいぎ”と読みますが、作法にかなった正しい動作、振る舞いのことです。仏弟子たる者は、一挙手一投足のすべてが在家信者から畏敬の念をもって見られるように行動すべきであるとされ、そのような行動を威儀と言うのです。

道元がこの巻で言っているのは、まさに仏弟子たる者は威儀を正せということです。そしてそのことを、道元は実に具体的に指示しています。まず爪を切れ、長髪にするな、と教え、本書では後半を省略しましたが、後半においては大小便の排泄行為や、その後の手の洗い方などを注意しています。

 

日々の行い一つ一つが禅なのだという考えが読み取れます。

坐禅だけが禅ではない、行住座臥全てを修行とするのは禅宗の基本的な考え方です。

 

さて、いま世間では、コロナウイルス予防に手洗いが注目されています。

手洗いは30秒ほどかけて洗うのが正しいとされ、

これは「ハッピーバースデー」の歌2回分にあたります。

さいきん、わたしは歌を頭の中で歌いながら手を洗っています。

30秒ほどかけてじっくり洗います。そこで初めて気づいたことがあります。

丁寧な手洗って、なんか気持ちよくないですか?!!!!

手を洗うという行為に没頭すると、

それまでのせかせかした時間が、

一旦リセットされるように感じます。

心が落ち着くんです。癒されるんです。

しかも感染予防になるのですから、

ありがたやありがたや。

ぜひ、やってみてください。おすすめです。

 

最後に先日、手洗いや消毒について取材を受けましたのでご紹介します。

お時間許せばご覧いただけましたら幸いです。

「新型コロナウイルス「最適な消毒薬は?」「安全な使い方は」「入手困難どうすれば?」薬剤師に聞きました」(YAHOO NEWS)


 

今回の参考図書はこちらです

現代文訳 正法眼蔵 3 (河出文庫)

現代文訳 正法眼蔵 3 (河出文庫)

  • 作者:道元
  • 発売日: 2004/09/04
  • メディア: 文庫
 

 

すらすら読める 正法眼蔵

すらすら読める 正法眼蔵

 

 

お寺の価値は装飾ではなく場にある

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久しぶりに暖かかったのでお寺で坐ってきました。

坐ってスッキリ、さあ帰ろうとしたら、

境内に観光客の女性たちが数人。

そのうちの一人が、

「まあまあだね。すっごく感動した、というものではないな」

といい、もう一人が、

「そうでしょう」

と頷いていました。

確かにここは高名なお寺なのに、

分かりやすい立派さはありません。

きっと期待外れだったのでしょう。

でも、ふらっと来て勝手に境内を使って、

坐禅できるお寺は実は珍しいんです。

山の匂い、鳥の鳴き声、お堂の冷たい空気、軋む木床の柔らかい感触。

誰にも邪魔されずに全部を味わいながら坐れるのは最高の贅沢です。

全部を「勝手に味わっていいよ」と外に開かれている。

このお寺の価値は、そういうところにあるのだと思ってます。

これじゃない寺感

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今日はいつもとは違う駅で降りて別の寺に行ってきました。

とても有名なお寺です。

着いたら桜が咲いててびっくりです。こんなにひやいのに。

甘酒を飲んだりして、1時間くらい過ごしました。

でも、どうもしっくりきませんでした。

以前も来たことがある寺です。以前もしっくりきませんでした。

やっぱりわたしはいつものお寺が好きだなあ。

しっくりくる寺、そうでない寺。一体何が違うんでしょう?

一つ言えることは、

この寺は、わたしが通う寺よりも境内が汚いです。

渋谷ハンズでロボットお坊さん「ロボウさん」と話してきた

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ロボットのお坊さん、「ロボウさん」が渋谷にいると聞きつけ、行ってきました、渋谷の東急ハンズ。23日からお寺イベントが開催されています。

ロボウさんとは、各地の僧侶が念力(インターネット)を使い、ロボット僧侶の体を借りて人々と話すマシーンです。

相談してもよし、何気無い話をしてもよし。と張り紙に書かれていたので、早速お坊さんとお話ししてみました。中の人は遠方のお坊さん。

 

私「こんにちは。はじめまして」

ロボウさん「はじめまして」

私「えーっと、なんでも聞いていいんでしょうか?」

ロボウさん「どうぞどうぞ」

私「最近、仕事疲れか、胃の調子がわるいんです」

ロボウさん「はいはい」

私「お坊さんはストレスで胃が痛くなる事ありますか?」

ロボウさん「ありますよ」

私「あ、あるんですね。意外です」

ロボウさん「しょっちゅうですよ、しょっちゅう」

私「しょっちゅうですか。そういう時はどうするんですか?」

ロボウさん「お医者さんに診てもらいます」

私「あっ、そこは普通なんですね」

ロボウさん「あははは」

私「坐禅や修行で胃痛で治すのではないのですね」

ロボウさん「病院で薬をもらいますよ」

 

とまあ、こんな感じでした。まあ、お坊さんと話しているのと変わらないんですけどね、フレンドリーです。動くロボットを前に、なんだかちょっと妙な気分でした。

こういうコミュニケーション用ロボットは増えていくんでしょうね。私は定期的にお寺に行っていますけど、普通はお寺もお坊さんも遠い存在ですよね。本当に話の上手なお坊さんの説法は感動します。そんなお坊さんという社会リソースを身近に感じる事のできる機会です。

このイベントでは、仏教をモチーフにしたペンケース、ブックマーカー、ハンコなど、いろんなポップな仏教アイテムが販売されていました。おもしろい!

私は500円のブックマーカーを買いました(下記写真4枚目)。

渋谷に寄ったらぜひ覗いてください。2月2日まで開催です。ロボウさんは稼働時間が決まっているようなので事前にウェブサイトでご確認を。

【渋谷店】お寺・仏像・お坊さん大集合!!「渋谷ハンズお寺サークル」 - 店舗のイチオシ - 東急ハンズ渋谷店

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