先日25日はブッダが亡くなられた日だったそうです。ツイッターでたまたま知りました。ちょうど『まんが大乗仏教』という本がkindle Unlimitedで無料で読めたので、試しにダウンロードして読んでみたところ、良い意味で俗な内容といいますか、妙にリアルといいますか、おもしろすぎて仏教徒ではない私(無宗教)でさえ一気に読み終えてしまいました。
私の中では手塚治虫『ブッダ』を超えてしまったかもしれません。
今回はこの『まんが大乗仏教 インド編・西域編』の序盤のハイライトをご紹介します。
物語はブッダが亡くなるところから始まります。多くの弟子たちに看取られながらの入滅と共に、大地は震動し花が咲き乱れます。教科書にでてくるような”いかにも”な展開です。が、物語はここから一気にリアルワールドに突入します。まず、ブッダが亡くなった直後、わずか4ページ読み進めた段階で、
「なんで嘆くことがある。あの口やかましいブッダが亡くなったのだ。これからはみんな自由な振る舞いができる。けっこうなことではないか」
というヤバい弟子が登場します。まあ・・・絶対いたでしょうね、こういう人。早くも平和崩壊の兆しでドキドキします。
さらに、ブッダが入滅した国に向けて、各国から集まった王たちが遺骨の分配を迫ります。「ご遺骨は他国に譲るわけにはいかない!」「そこをなんとか」「いや、こればっかりは譲れぬ!」「わからずやめ!わしは力ずくでもご遺骨を持ち帰るぞ!」と、慈悲も平等もないやり取りが繰り広げられます。老いた僧が仲裁に出て「遺骨で争うのはブッダの教えに背きます」とその場を鎮めますが、早い者勝ちです。火葬に遅れて参加した民族は、遺骨の分配にありつけず「もうご遺骨はないぞ。ああ・・・」とうなだれ「せめて灰だけでもいただいていこう」と言って灰をかき集めて国に帰っていきます。その姿の寂しさといったらありません。
ブッダの教えを勝手に解釈して言い回る者も出てきます。年長の僧たちは「今後も自分勝手な解釈をする者が出てくれば、教団はバラバラになり、ブッダの教えは滅びてしまうだろう!」と危機感を覚えます。そこで彼らは、各地から弟子を集め、弟子たちが記憶していたブッダの教えを語り合い、間違いがあればそれを正して、正しい教法と戒律だけを残すという大集会を開きました。
しかし、その教えも100年ほど時が経つと疑問を抱く人々がでてきます。戒律を破る若い僧たちが登場します。あるとき、年配の僧が彼らの戒律違反を指摘すると、ひとりの賢そうなイケメン僧が言い返します。
「戒律ができてすでに100年・・・時代に即して変えるべきだとおもいますが」
いやあ、なんか今の社会でそこらじゅうで見るような光景じゃないでしょうかね。この状況に再び危機感を覚えた教団の執行部は、100年前と同じようにふたたび集会を開きますが、若手と長老派の議論は平行線をたどります。そして、長老たちは、
「もう若い者とは一緒に一緒にやっていけない。わしらはわしらの道を行くしかないな」
といって分裂することになるのでした。
・・・いかがでしたでしょうか。『まんが大乗仏教』は漫画ならではの誇張&簡略化された表現が多いとは思いますが、教養とエンタメ性に優れ、現代人が読んでも共感するに余りある内容となっています。仏教から生まれた坐禅をより深く知る上でも役立つ気がします。
本作品は全3巻からなっていて、うち2冊はkindle Unlimitedで読めます。私ももう2冊読んでみようかなと思います。